活動記録

主にアニメやエロゲのレビューしていくつもりですが、ジャンル問わず色んな事について書くと思います。

喫茶ステラと死神の蝶 感想

総評
ねえ、「死神」と「蝶」の要素いる?喫茶店だけでいいでしょ。たとえストーリーの起承転結の「起」の部分を作るためだとしても完全にこの二つの要素は持て余していたと思う。蝶が出すぎだし、涼音程度の鬱で蝶が発生するならわざわざ蝶を集める為に喫茶店開く必要ないだろ。ちょっとオフィス街歩いてれば大量に集まるよ。
涼音ルートみたいに喫茶の運営に焦点当てて作品作った方が良かったのではないか?それではゆずソフトの作品とは言えないかもしれないが…。ゆずソフトの作品は毎回のようにファンタジーとシリアス要素がちょっと入るからね。ファンタジー要素はともかくシリアス要素要らねンだわ。
あと今回は主人公にあまり好感を持てなかった。購買層を意識したのだろうが「インキャ童貞」と称してはいるものの歴代ゆずソフトの主人公の容姿とそう変わらないので設定倒れ。割に自分勝手な性格してるし容姿もそこそこ良く、大学生なので普通なら希あたりと「卒業」しているだろう。プレイヤーは主人公と一番長く接することになるのだからもう少しメーカーは主人公作りにも注力した方が良い。これは持論だけど主人公キャラと主人公の男友達がクソだと全然面白く感じないんだよね。

 

シナリオ

交通事故で死んだはずの主人公が自分が死ぬ運命を回避するために喫茶店を立ち上げて心の隙間を持った人たちを救っていく話なんだけど、主人公が死ぬ設定も要らんし散々言ってるけど「死神」と「蝶」の要素も要らん。完全に蛇足。ナツメと栞那を後回しにして攻略した方がいい。あとのヒロインはご自由に。

 

栞那ルート
グランドルートだがシナリオは本作でも最低かもしれない。ご都合主義の塊。グランドルートの割に中盤で問題解決してあとはイチャラブするし、問題解決の方法が「なんかわからないけど死神から人間になれました」って…なんだそれ…。死神として最後にデートするCGは立ち絵の使いまわしだし手抜きの極致。同メーカーの『サノバウィッチ』もこのルートと同じようなファンタジーな展開してたけど同じグランドルート担当の綾地さんはちゃんと努力して幸せを手にしてたのに対してこの娘はなぁ…。この娘の場合『千恋*万花』と違って「まこと意地の優しい神の所業か~♪」で片付く。車の人の声と淫乱な性格してるのは良かったです。

ここは天才的な発想してるなって思った

 

ナツメルート
まとまってはいた。ナツメ自体が可愛いし、付き合っても結構な頻度でジト目してくれるの好き。夏和小のクールボイスもエッチだしね。主人公のことが好きで最後のシーンで感動してもちゃんと「サプライズは嫌い」って釘を刺すシーンはキャラクターの設定忘れてないのとキャラクター自身が「個」を持っている感じがしてよかった。
大学では告白してくる人間を振りまくる「撃墜王」なんて綽名してて主人公に対しても塩対応なんだけど、一緒にバイトしていくうちに主人公の人柄に惚れて行って…って惚れる過程を丁寧に描写していたのは良い。
ただ、彼氏と中華コスプレしながらエッチして大学さぼったり怠惰な学生生活してりゃいいのに雑なシリアスぶっこむのは本当に要らないよ。一回死にましたって設定も要らんし過去の未練の話もしょうもなさ過ぎて、わざわざこの要素要る?ってなる。なんか「蝶」やら「死神」の設定を生かすために無理にキャラクターを動かそうとして失敗してるんだよなぁ…。過去のしょうもない未練何年も引っかかってるのマジで生きるの辛そう。そりゃ生きる気力もなくなるわ。

この表情癖になる

 

希ルート
なんか喫茶とかすっ飛ばして神社と赤い蝶の話になる。赤い蝶は希の前世の母親でそれを成仏させるみたいな話。なんか本筋からそれた感じでいきなりポッと出てきた設定に翻弄される感じがしてストーリー自体好きになれなかった。ナツメの項でもいったけどキャラクターが動くんじゃなくて設定を動かすためにキャラクターが動かされてる感あるんだよな。杉田智和の声帯持ってるミカドがこのルートだと他のルートにはないほどに冷徹な選択肢取らせようとするし「お前…そんなキャラじゃねーだろ」みたいなキャラ崩壊起こしてる。ライター同士のキャラクター造形のすり合わせをミスってる。複数ライター制の悪いところが出てたね。

学生のバイト感覚で巫女の修業も朝武の家に比べて真面目にやってなかった希がちょろっと練習したら超常のモノの満足のいく舞踊が出来るのか。貴重な古文書がそこらへんの図書館で簡単に見つかるのか。…等々気になるところを列挙していったら紙幅がいくらあっても足りない。

個人的に希のキャラクターは幼馴染好きとしてはかなりストライクなんだけどね。
実家が神社だから朝武の家の話がチョロっと出てくるのと綾地張りの食いしん坊キャラなの好き。主人公のことを本編でずっと「君」付けで呼んでいたのがエピローグで結婚して「あなた」呼びに変わるのと物語の開始時点から主人公のことを幼馴染としてではなく異性として見てて餌付けしてたり自分から告白しようとするアグレッシブさが好き。
好きな部分を搔い摘んで摘示していくと好きになる要素しかないんだけどストーリーがクソで台無し。

天岩戸の神代より女ならでは明けぬ国

 

愛衣ルート
ドエロ谷、ドエロ谷愛衣。一言で言えばそれ。付き合うと主人公の変態ぶりにドン引きしながらなんだかんだでそれに応えてしまう淫乱。蝶と友人の話要らんだろ。付き合うまでの流れ結構しっかり目に描写してるんだからそのまま濃厚なイチャラブバカップルやってりゃいいのに無意味に学校の友人出してシリアス展開にしなくていいよ。でも最後のCGと水着の日焼け跡のCGは好き。

このCG好き


涼音
サブヒロインなのでオマケ程度のボリュームしかないが、正直な話、涼音のルートが一番安定していたと言っていいかもしれない。終始カフェ経営とケーキ作りの話しかしてないから一本筋の通った話として見れた。涼音がなんでストーリー開始時点であんな状態になっていたのかもある程度語られるし、喫茶の新商品開発を通して過去と決別するから読後感が良い。ゆずソフトにストーリー性を期待するのが間違っているのかもしれないが最低限涼音ルート程度のストーリー性は欲しい。
見た目と性格、担当声優から『SHIROBAKO』の矢野先輩を彷彿とさせるから個人的に大変エッチでした。主人公の為に無理して体形に合わないブラと下着付けようとする健気さが好き。

実生活は自堕落だけど社会人としてはしっかり仕事する系お姉さんいいよね

 

個人的にメイン4人のルートを評価すると下記のような感じ。涼音ルートと共通ルートが一番楽しめた。

共通パート>>>>>>ナツメ>>愛衣>>>>>>>超えられない壁>>>栞那>>>超えられない壁>>希

 

主人公の友人キャラの方が主人公より好感持てた。ナツメルートで幸せになってくれてよかった。

 

キャラ:★★★★☆
ストーリー:★★☆☆☆
CG:★★★★☆
エロ:★★★☆☆
システム:★★★★★
音楽:★★★★☆

総合評価:60点

千恋*万花 感想

総評
一言で言うなら「和風ラブコメディ 伝奇譚添え」って感じ。
結論から言えば、どこまで行ってもいつものゆずソフトなのでエロゲー初心者にはお勧めできる内容。
シナリオ面ではラブコメ多めなのでシリアスや戦闘には期待しない方がいい。大筋に関わる祟りや呪いに関しては共通ルートで解決して、残りの問題はヒロイン個別ルート毎でちょろっとやる程度。しかも共通の問題解決はなろう系作品もビックリの主人公TUEEEして終わる。ドラクリと同じ。つまりいつものゆずソフト。ただ、主人公の性格が熱血漢で努力もちゃんとする人として好感の持てる性格しているので読みやすさはなろう作品の比ではない。
しかし、昔剣道をやってたとはいえ爺さんとの猛特訓をちょっと再開したら怪異と戦えるようになるってのはあまりにも逸般人。ここを飲み込めるかどうかがまず本作を楽しめるかどうかの関門だと思われる。
後、シナリオで言うならレナと芳乃のルートでやること逆じゃない?と思わなくもない。意外性でそうしたのか案外整合性は取れてるけどレナの一族が海外に持ち去った欠片の所為で歴代の朝武家に被害が出てるの可哀想だなぁって少し思えてしまった。

 

シナリオ
観光地として有名になった穂織に久しぶりに帰ってきた主人公が、そこでたまたま開かれていた妖刀を抜くイベントに参加したらその妖刀を折ってしまって…という話。
ヒロインたちとの交流の中で妖刀の話や穂織がどうして現状のようなことになったのかといった経緯が語られるので個人的に歴史物とか好きな人にはより楽しめるのではないかと感じます。
攻略順としては芳乃と茉子とムラサメとサブ2人はどこからやっても良い。レナは最後に持っていくのがおすすめ。

 

芳乃ルート
面白さを抜きにして一番まとまりがあったシナリオとはいえる。ポンコツ系ヒロインで可愛いし許嫁って立場だから家庭的なことで喧嘩したりするのがいいね。彼女のルートは早々に祟りの部分を解決してあとはいちゃいちゃするだけなのでノーストレスで見れた。人によっては退屈と感じるかもしれないが、ユーザーに求められているのはこういうゆずソフトのシナリオなんだよ(ノーストレス)。
ただ、割と朝武家の呪いが重くて芳乃以外のルートに行ったときに芳乃も将来的に朝武の呪いの魔手に掛かってしまうのかという点が気になる。
個人的なことだけど作中髪型が変わる(ポニテに)ことあるけどポニテのままの方が可愛いと思う。
エピローグの呪いを打ち破って男児を出産してる芳乃のあのCGとシーンは本作随一の尊さを感じたね。芳乃のお父さんの思い残したことも解決出来ているし主人公がこっちに逗留しに来た面目躍如って感じのルート。この物語は上の世代から押し付けられた負債を何の罪もない今の世代が背負って、それを解決するパターンばかりなので、その負債を下の世代にも押し付けなくて済むと言う意味ではレナのルート並みに色々と解決できてるルートで読後感は良い。

芳乃の母親と父親も救われるルートなの好き。

千恋*万花」感想:俺もこぶむりにFullHDで作画されたい話。 : スズ的周期表。前作のネタ入れるのも好き

 

茉子ルート
先祖がやらかしたせいでずっと朝武家に仕えている一族の末裔のエロ忍者。このシナリオも芳乃のルートみたいにある種、自分の人生を呪いのように諦観していた茉子が人生の意義を取り戻していくって読み方しても良いと思う。
まあ問題の犬が普通に話が通じる化け物だし、茉子に恋をしてもらって勝手に満足して消える終わり方はどうかと思うが…。ゆずソフトにはそんなシリアスは求められないからいいのかもしれないけど、折角茉子の家と朝武の家の禍根があるのだからそこをフォーカスしても良かったかもしれない。ストレスになる要素は極力排除がゆずソフトの悪いところでもありよいところでもあるから仕方ないかもね。
生まれや育ちの所為か何かにつけて自分を卑下するのはある意味で鬱陶しいけどかわいらしさもある。恋を自覚すると滅茶苦茶積極的になるのと口癖の「アハ」が死ぬほどかわいい。小鳥居夕花の声帯持ってて家事万能でオナニー大好きなエッチな女の子が可愛くないはずがない。素晴らしいね。

大体いつもいやらしいことを考えてる女

 

レナルート
正直、このヒロインがグランドルート的扱いだったのはパッケージを見たときにはわからなかった。というよりこのルートはレナルートって言うよりこの作品の答え合わせ的なルートの色が強い気がする。レナとのイチャラブがやっつけに感じるんだよね。個別に入った途端いきなり好感度マックスみたいな反応になるしちょっとついていけなかった。
先祖がたまたま欠片拾っただけのヒロインがグランドルート担当するのがよくわからない。朝武の一族はキレていいと思うよ。こいつの先祖が海外に欠片持ってった所為でどうあがいても呪いを解呪できなかったから。結構なボリュームでレナの先祖の話をし出すのやめてサクッと終わってほしかった。本筋でやりたいことはグランドルートでわかるんだけど色んな所にとっ散らかってるなという印象。
でも桐谷華の声帯だし立ち絵の表情が一々エロくてそこは好みの部分だった。
このルートの最後にタイトル回収してるのは好き。

桐谷華の舌ったらずな声帯がカワイイ。ただそれだけ。

 

ムラサメ
このシナリオは始める前は一番この作品の根幹の話になると思わせておいてムラサメの過去話やら封印された理由などはサラッと流されて村おこしの話が主題になる。肩透かしを食らったね。村おこしとか…とってつけたような転結の部分は良いから、ご神体になってしまった当時の話とかもっと引っ張れただろう。ここを引っ張らずにすっ飛ばしたことに関しては人によって評価が分かれる点だと思うが、自分としては飛ばさないでほしかった。
しかもご神体はずっと残ってたからムラサメは人間に戻れる!じゃないんだよ…はぁ…悪い方でのゆずソフト恒例の人ならざるものを人間に戻す話がこの作品にもありましたとさ…。喫茶ステラでも同じことしてたよな。
他のルートでは起きない「村の経済事情の悪化」という取ってつけた問題を解決する為に村おこしをしようという話になるが、そんな大事なことは大人が主体となって進めるべきだろう。それにもかかわらず大人たちは子供たちにまかせっきり。不自然なまでに。しかもたった二日間で大成功できるイベントなんか作れるのも都合が良すぎる。結局妖刀を抜くイベントを復活させて終わりって…それでとんとん拍子に上手く行ってるのも正直どうなのかと思ってしまう。
後、ムラサメ役の声優の喘ぎ声が不自然で萎えるのはやめてほしい。別に夏野こおり張りのフェラ声を出せとは言わないからせめて聞いてて違和感を感じない程度には自然なエッチシーンを演じてほしかった。
個人的には一番本作の中では駄目なシナリオと言っていいかもしれない。
でも最後ムラサメちゃんが実体化してカップルとして学校生活でイチャコラするのは好き。

ご主人呼びと本名とSD作画になるとカワイイ。

 

芦花・小春
途中までは二人一緒のシナリオで、選択肢によってどちらかを選ぶ感じのシナリオ。どちらの話も箸休め的に読む分には文句なし。特に芦花姉の存在はサブヒロインどころか、なぜこのヒロインをメインヒロインにしなかったのか…と言いたくなるくらいの破壊力を持っていた。なぜ、なぜサブヒロインにしてしまったのか…本当に惜しい。この娘とのイチャラブがもっと見られたらもう少し加点しても良かったとすら思えるヒロインとしての完成度100点。
…話を戻して、どちらもちゃんと短いながらもまとまりのある話でメインに比べて破綻もなく終わってよい。

千恋*万花 芦花アフター - YouTube

年増だからすぐに結婚を迫ってくる芦花姐好き。結婚してくれ。

 

個人的にメイン4人のルートを評価すると下記のような感じ。
共通パート>>芳乃>>>茉子>>>>>レナ=ムラサメ


無駄なシリアスを極力省き、和風テイストを除けばいつものゆずソフト。和風テイストが好きな方はやっても良い。芦花姐をもっと出しなさい。メインヒロインに格上げしてたらもう少し評価上がってた。あと爺ちゃんのキャラが滅茶苦茶好き気になれる。KOTOKOの歌うテーマソングはクセになる。

かっこいい爺キャラいいよね

 

 

キャラ:★★★★☆
ストーリー:★★★☆☆
CG:★★★★☆
エロ:★★★☆☆
システム:★★★★★
音楽:★★★★☆

総合評価:75点

ノラと皇女と野良猫ハート 感想

 

 

総評

人気声優を集めた本作、絵と声優陣だけは本当に良い。アニメにもなってるくらいにはね。
ただ内容はかなりひどい。散々言われてる点だけども文体との相性が合わなければやっていて苦痛になるゲームだと思う。辻褄が合わないような展開が気になる人にもお勧めしない。本作の特徴としてナレーションがあげられるけどもナレーションの存在はテンポが重要な本作のようなギャグゲーには致命的な蛇足感を与えている。ギャグゲーの割に必要性を感じさせないシリアス描写が多いのもいただけない。
ギャグのセンスも正直ピーキーで、面白いものはクスッと笑えるが面白くないものはクスリとも笑えないものだった。ただ、エロゲーによくあるパロディネタなどを使わず自作のギャグで笑わせようとする意気は素晴らしい。そのギャグが面白かったらもっと良かったんだけども…。あと下ネタが多すぎる印象…生理ネタとか妊娠ネタとか流石に生々しい。箸休め的なポジションで幕間に挟まれる「ネコのお考え」も打率も低めで蛇足感を醸し出す。
シナリオで一点だけ良いところがあるのは、サブキャラもそれぞれのルートに入っても最後まで出てくるのは良い。そのルートに入ると途端にサブキャラが出てこなくなるゲームも多いので。
個人的に相性が悪かったのでボリューム的にはメイン4人だけの本作をプレイしていてもプレイ時の時間感覚は非常に遅く感じた。ナレーションの正体もある程度読み進めていくと誰だか予想がつく上に先の読める展開が多いのでエロゲー初心者向きの作品であることは確かだろう。ある程度エロゲーやったことある人間には退屈に感じる可能性は否めない。

 

シナリオ

簡単に言えば、冥界の皇女が地上の生命を滅ぼしに行ったら主人公と出会ってたまたま主人公を猫にしてしまい主人公を猫から人間に戻すと言う話。本作は知名度もありレビュー自体が他の方も頻繁に書かれているのでここは他の方にレビューは譲るとして、個人的に気になったところを各キャラのルート毎に摘示したい。
共通ルートで各キャラクターが抱えた問題…例えば、明日原の昔の悪い友人たちや黒木の親との確執が描かれているため他のキャラのルートに行くとわだかまりが残るのも気になる点。明日原と黒木のルートは話の起伏を作るためにか分かりやすい胸糞の悪い悪役が出てくるのが気になる。しかも明日原のルートに顕著だがそれを雑に処理するのなら最初からそんなもの必要なかったのでは?共通ルートのワチャワチャした感じがピークだった気がする。各ルートに入ると尻すぼみする印象を抱いた。
個人的にはゆずソフトみたいなシリアス要素極力なくしたシナリオの方が作風には合ってたと思う。

 

パトリアシアルート

人間の姿かたちをしているものの人間の心を理解できていない冥界のお姫様が人間の心を知り、恋を知っていく話。その恋を自覚する過程がカワイイ。知識欲が貪欲なのでエッチにも積極的なのは良いんだけどもエッチシーンで姉妹ともヤるのは人間の心が分かってないからなのか純愛が好きな自分としてはあまり肯定的にはなれなかった。
ただこのルートもご多分に漏れず辻褄が合わない場面が多い。突っ込みどころがあまりにも多すぎてすべては描き切れないけど、パトリシアが実母にノラとの交際を反対されるシーンとか、黒木のルートでは黒木が平気で人間界と冥界行き来してたのにこのルートだと生者は行き来出来ないとか言ってるし、ルート同士での整合性くらいは取ってほしい。
グランドルートかつメインルートっぽいのに投げっぱなしな要素が多すぎる(どのルートにも言えるけど)のはいただけない上にメインルートは長くすればいいって安直な考えに至ってやたらと長くするのはやめた方がいい。例えば「ぬきたし」みたいな面白い作品なら長さは気にならないが、辻褄の合わない文章を長々と読んでると眠たくなる上にオートモードがやたらとテンポ悪いので。

どのルートでも理屈っぽいパトねえがこうなるのは好き

 

シャチルート

共通ルートからいかにも何かワケアリでシャチの正体やノラとの関係性をしっかりやるルートかと思ったら案外簡単に流されて肩透かしを食らったルートだった。このルートは基本的に二人ですれ違い系ラブコメしてるだけなのでクソモブとか出てこないって意味では一番ストレスを感じないルートかもしれない。
ただ冥界と対を為すはずの天界の物として生み出されたシャチの設定を使えばもっとシナリオ的に映える見せ方があったのではないかと感じる。ノラの母親代わりとして終始するシャチに対して母親ではなく恋人になりたいってノラがシャチに意識を変えてもらうだけで終わらせてしまうのは勿体ない。あとこのルートだけノラの猫になる魔法が解かれてないのも気になる。
他のルートで無駄にシリアスやるくらいならシャチの設定を生かしてガッツリシリアスシナリオ出来たのではないかと考えると物足りなさは感じるもののラブコメとしてみたら全体的に面白く読めたシナリオではある。何度も言うけど他のルートでは起承転結の為に存在するウザいモブが出てこないからね。
このルートを面白く読む前提条件としてあまり期待値を上げ過ぎないで読むことが必要だとは思う。

個人的には授乳手コキと陥没乳首は最高なのと最終的にシャチの後ろにいる機械まで喋り出すのは好き。

 

黒木ルート

どのルートにも言えることだが特に黒木のルートは設定と乖離した展開やシナリオ構成が見受けられる。シリアス書けないなら最初からシリアス展開にするのやめてほしい。
細かい点を指摘すると枚挙に暇が無くなるからあまり指摘はしたくないけどもあんなに親が束縛しているのに頻繁にデートや彼氏の家に行ったりできるのか。あの親のことだと弁当作りしてるのに気が付いた時点で辞めさせようとするんだけどもなぁ…。
毒親&レイ〇犯兼結婚詐欺師相手に「積極的に相互理解していけ」って勧める仲間たちにも学生特有の浅薄さを感じさせるし、他のルートだったらあんな選択肢を黒木にさせようとするような仲間かなぁ。ブレてんだよね。なんか、シナリオありきでそれに沿ってキャラクターたちが動かされてるだけって感じのシナリオなんだよ。
それに黒木の親を悪人に仕立てたくないからって理由で別の悪役を作らずとも親との確執の解消って点に焦点を絞って展開することもできたのでは…?
あと学校での盗難事件の話で、自分が痛い目を見る可能性を知ってて主人公を庇う明日原と比較すると黒木の弱さが目立つのもキャラ萌え目的のゲームではキャラの魅力を減らしてしまっているポイントなのではないかなぁと思う。主人公が死ぬところでもなんでも終始泣いてばっかりなんだよねこの娘。「彼氏なのに私を救ってくれないんですかぁ!」みたいなセリフもルート中で出てくるし悲劇に酔ってるだけ。それなら出来事すべてに諦観して受け入れてる明日原の方がマシ。
最後の冥界に行く話があまりにもサクッと終わらせ過ぎて、それなら最初からノラ死なせなくていいじゃんってなる。シナリオたたむためにノラを化け物にするのもどうなっとるんだか…。シャチやパトリシアルートでバラすのが常套手段ななはずなのにルートの最後のナレーションでナレーションの正体バラしちゃってるのはどうかなぁって。
全体的に粗が目立って個人的には評価が低いルートだった。

好き好き言ってるけど最後の最後くらいしか自分で何とかする気概がないのがねぇ…

 

明日原ルート

シリアスは要らない。シリアス書けないなら書くな。
要所要所で出てくる明日原の昔の友人たちの明日原に対する執着ぶりはストーカーの域に入ってて気持ち悪かった。ライターの技量や話の展開上そうせざるを得ないんだろけど、わざわざ昔の知り合いに戻ってきてもらいたいからってあんな犯罪行為を行おうとするだろうか?あそこまで行ったら病気だろう。後、最後の猫カフェに襲撃する展開は主人公たちが停学になったのに犯人たちがどうなったのか描かれていないのはカタルシスを下げる展開だと思う。勧善懲悪したいならしっかり描き切るべき。敵役のシオハラの金持ち設定とか考えるとまだエピローグの後で報復合戦が起きそうであまり読後感が良いとは言えない。
黒木のルートと同じで彼女とのイチャラブ展開だけで良かったのではないか。
これは黒木のルートにも言えることなんだけども共通ルートで明日原の昔の悪い友人たちや黒木の親との確執が描かれているため他のキャラのルートに行くとわだかまりが残るのも気になる点。

変にシリアスにさせんでよろしい。桐谷華の声帯持ってんだからギャグとラブコメだけやってりゃいいのよ


個人的に全体のルートを評価すると下記のような感じ。
共通パート>>超えられない壁>>>>パトリシア=シャチ>超えられない壁>明日原>>>超えられない壁>>>黒木

 

起承転結の転と結を書くために無駄なシリアス入れるくらいならシリアス要らないよ本当に。シナリオ毎の辻褄も合わせてほしい。

 

キャラ:★★★☆☆
ストーリー:★★☆☆☆
CG:★★★★☆
エロ:★★★☆☆
システム:★★☆☆☆
音楽:★★★☆☆

総合評価:60点

ワルキューレロマンツェ 少女騎士物語 感想

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▲発売日:2011-10-28
▲メーカー:Ricotta
▲原画    :こもりけい ひづき夜宵
▲シナリオ:    北川晴 おるごぅる、他
▲声優:かわしまりの、島原蘭、夏野こおり、茉田部里依紗、他

 


●シナリオ
恋する少女騎士おとめは奇跡を起こす――
華麗にして、勇壮な戦い!そして学園生たちを魅了する、ジョスト(馬上槍試合)。
主人公――水野貴弘(みずのたかひろ)は、その馬上の騎士を支えるベグライター(騎士補佐)を専攻しながらも、どこか退屈した学園生活を過ごしていた。
貴弘は子供の頃、母国のジュニア選手権で敵無しと称され、自らの力を試すために留学したが、期待を受けた大会決勝で怪我をし、引退をしたという苦い思い出があった。
近づいてくる年に一度の大会に向け、盛り上がっていく学園。
出会った少女騎士を支えたい!との思いから、強きパートナーとなるべく決意する貴弘。
そして、目指すのは、もちろん大会での優勝!
挫折した元騎士のべグライターと少女騎士の、長く熱い戦いの日々が始まる!!(以上、公式サイトより)

2013年にはアニメ化もされた本作。主人公は将来を嘱望された元騎士ながら、ある事故でベグライターに転向した過去を持つ学生ですが、どのルートでもその設定がいかんなく発揮されていたのは良い点だと思います。
ジョストがどういった競技なのか、我々日本人には馴染みが薄いですが、制作陣もその点を懸念したのか作中で初心者の美桜がひょんなことからジョストをしながらプレイヤーと同じ目線でジョストがどういった競技なのか描かれていくので初心者にも競技のルールがわかる親切設計も高評価。
肝心のシナリオのクオリティですが、ルート毎に出来不出来の差が激しいですね。特にリサルートは評価が分かれるところでしょう。メインの美桜やスィーリア先輩のルートはしっかりとした作り、かつ読後感も爽やかに終われますが、ノエルとリサのルートは主人公的にも消化不良感を感じざるを得ない出来でした。
詳しくはキャラクターの項目で述べますが、全てのルートが美桜やスィーリア先輩のようなクオリティであればもう少し評価ができるシナリオだったと思います。
構成も共通ルートから個別ルートに分岐して1,2回エッチして大会中に2回ほどエッチ、途中学園祭をはさんで決勝や問題解決みたいなワンパターンの構成なのも多少目につきます。

 

●ボリューム
ひょんなことから普通科の美桜がジョストを行い勝利するまでを共通ルートとして、個別ルートに入ってからも各ルート共通ルート並みのボリュームがあって満足感は高いです。プレイ時間としては各ルート、普通に読み進めて4,5時間くらいでしょうか。
メーカー的にもエッチシーンに力を入れている為かエッチシーンの描写が非常に長い。個別ルートに入ってから体感では3から4分の1くらいはエッチシーンじゃないでしょうか。抜きゲーとみるならクリア後のオマケのエッチシーンも併せて非常に満足のいくボリュームだと思います。
逆にエッチシーンにボリュームが割かれている為か、キャラクター同士の掛け合いや個別ルートに入ってからの恋愛描写、試合描写はやや駆け足気味なのでそちらを楽しみたい方には満足感が少ないかもしれません。

 

●CG
メインCGにこもりけい、SDキャラのCGにひづき夜宵と分担している為、キャラクター毎のCGに絵師ごとのバラつきやクオリティに差が無く、どのCGも当時としてもクオリティが高いものが揃っています。一部(スィーリア先輩のエッチシーンなど)に少々作画不安定なものが見られなくもないですが、抜きゲーとして高水準なレベルにまとまっています。特に作画が難しい甲冑や馬も主だったキャラクターの立ち絵差分が用意されているなど高いレベルで作画が安定しているのも高評価。殆どのサブキャラクターにも専用の立ち絵CGが作られているのも良いですね。
SDキャラも本作の等身高めなキャラクターが多い中、各キャラクターかわいく描かれているのは良かったと思います。

 

●キャラクター
スィーリア・クマーニ・エイントリー
完璧超人学生会長。彼女のルートが本作では一番完成度が高いです。彼女のルートは彼女の兄で主人公の元師匠ユリアーヌスと戦う展開になるのですが、主人公と師匠の過去の確執も彼女と共に試合に取り組むことで解決し、彼女と関わっていくうちに主人公もまた騎士として再起します。ある種、美桜ルートよりも話の整合性が付いており、かつ主人公も騎士に戻るという大団円ルートで読後の満足感が高いルートでした。
彼女は国内でも並び立つものが殆どいない(ユリアーヌスは別として)ような実力なので大会に勝ち進むのは当然ですが、そこに主人公が補佐として付くことで国内最強の騎士ユリアーヌスとの戦いでも勝ち負けできるほどの実力に底上げしていく展開は設定的にも整合性が取れており純粋なスポコン物として機能していたと思います。特に彼女のルートでは主人公がユリアーヌスの元弟子で将来を有望視されていた元騎士と言う設定が活かされるのがいいですね。主人公の過去の経験を踏まえて提案される作戦の数々+スィーリア先輩の実力で国内最強のユリアーヌスに挑む展開はどのルートの試合よりも話とバランスが取れていました。
学園内に敵なしの無敵の彼女が可愛いもの好きで、その強さゆえに孤独を感じている年頃の女の子ってありがちな設定もオーソドックスでイイと思います。普段は凛々しくしっかり者の彼女がHに夢中になりながらアヘ顔を晒すのを見ると無様エロに嵌る方々の気持ちが分かる気がします。大会中にHをして更に強くなるのは笑いました。

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精神的にも人格的にも能力的にも強すぎる先輩が頑張るの良いよね…。

 

ノエル・マーレス・アスコット
このルートはノエルの家族の物語でしたね。妹のミレイユや父親のために頑張るノエルを主人公が支える物語。彼女のルートは最終的に主人公がノエルの家に婿入りして騎士に戻らないのでバッドエンド感があってその点は好きではなかったですね。物語的にはまとまっていてその点は好きなんですけどねぇ。
努力しても結局スィーリア先輩には勝てない現実的な落としどころと某アニメの「ク〇ラが立った」的なご都合主義的展開が並立していてバランスは良かったと思います。
ただ、家族の問題にフォーカスするなら、親を説得する大事なところをミレイユ任せにするのはどうかと思います。もう少しノエル本人が解決してほしいなと思いますね。侯爵も急に心変わりしすぎじゃない?いや侯爵って親バカだけど、大事な愛娘に家出されてミレイユにも嫌われたらってなったらそうなるの…かな?
結局互いが互いを想いあうがために引き起こされるすれ違いを解決する感じで読み物としてもそこそこのまとまりがあって良かったんじゃないでしょうか。ミレイユも良い子だし。

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侯爵令嬢らしからぬ(誉め言葉)アクティブさが可愛いですよね。

 

リサ・エオストレ
貧乳ロリ後輩天才騎士。個人的にはこのルートが一番出来悪いですね。その一番の理由がフィオナの存在です。彼女の存在さえなければまだマシなんですけどね。
彼女のルートは彼女自身の過去や天性の才能故に人を信用できない孤独な少女が主人公との交流を通して人として成長していく物語です。まとめてしまえばこんな感じなのですが、話を進めるためにやや強引な話の展開や設定が続くのが気になります。
例えば、頑なにベグライターは要らないと拒み続ける彼女に対してスィーリア先輩やノエルにもベグライターとして誘われてる状況の主人公がしつこい勧誘をしている点。他にも心を開いたはずのリサがフィオナの流言飛語で簡単に主人公を拒絶する様も強引な展開だと感じます。
些細な点まで数え挙げたらきりがありません。主人公を好きになる理由も正直薄いんですよね。猫(ささみ)を探していたら好きになっていたって感じでもう少し好きになるしっかりした理由を描けていればよかったですね。
フィオナが暗黒面に落ちてる理由も改心する理由もあまりにもアッサリしすぎてる上にペナルティも無いのはちょっと…どうなんですかね。
しかもスィーリアルートだとベグライター無しでも普通に大会の決勝まで勝ち上がってくるリサがこのルートだとやっとの思いで決勝まで行くのでそもそもベグライターとしての主人公は必要あったのだろうかと言う気持ちにもさせられました。
他のルートの主人公が深入りしないルートだと「やや生意気な後輩」で済むのですが、このルートのリサは他のルートに比べて子供と言うより精神が未熟なガキ感が強くていけませんね。勿論他のキャラクターもルート毎に若干の性格のばらつきは見られますが、このルートのリサは酷いです。フィオナが絡むと特にひどい。
リサ単体だと可愛くて良いんですけどねぇ…もう少し話の見せ方があったんじゃないでしょうか。

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単体だと可愛いんですけどね…。

 

希咲 美桜
彼女のルートが一番、王道ではあります。実は才能に溢れた素人が大会の台風の目になる…スポコンモノにありがちな話ですが、このルートはご都合主義すぎる点も多々見受けられるのが痛いですね。話の完成度としてはスィーリア先輩ルートの次に来る完成度だとは思いますが。
彼女のシナリオは王道のスポコン。共通ルートのジョストの決闘を通してジョストの楽しさに魅了された美桜がジョストの大会に出て優勝するために頑張る話です。当然、才能があるとはいえ素人に毛が生えた程度の彼女を勝たせるためには様々なご都合主義とも呼ばれる数々の要素が必要になります。ここがこのルートの問題点です。幾らかのご都合主義なら許容できますが、彼女のルートはご都合主義が過ぎます。茜やノエルに勝つのはまだしも、才能のあるノエルや作中天才とも謳われるリサですら勝てないスィーリア先輩にまぐれとはいえ勝ってしまうのはご都合主義の極みです。ノエルルートのノエルやリサルートのリサですらスィーリア先輩に勝てないのですからもう少し現実的な持って行き方や落としどころがあったのではないかと感じざるを得ません。結局、美桜も大会後に騎士辞めるなら当て馬みたいなところがあってやや消化不良。
とはいえ、他のルートでは秘めた思いをひた隠しにして主人公と他のヒロインの恋路を応援する素直で純真な彼女が主人公と付き合う展開や、美桜の頑張る姿を通して主人公が騎士になるために再起を図るのは良いオチだと思いますし、主人公が騎士に戻らないノエルやリサのルートに比べるとグッドエンド感があるのは評価できます。

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ぶっちゃけ髪切らない方がよかった気がします。

 

●システム周辺
10年以上前(2011年発売)のゲームなのでシステム面では現在のゲームには及びませんが、ゲームを快適に楽しむうえでの最低限度のシステムは備えてます。強いて言うのならバックログでそのシーンにジャンプする機能が欲しかったくらいでしょうか。また、周回プレイをする上でスキップ機能で飛ばすことしかできないのがやや難点ですが、これも上記の古いゲームと言う点を考えれば許容範囲でしょう。
文章の方でもやや誤字脱字が散見されるのが気になりますが許容範囲内。

 

●総評
スポコンモノや抜きゲーとして見るならそこそこ満足感があるのではないでしょうか。システム回りも最低限度揃ってますし、不完全燃焼のルートも散見される本作はどう評価すればいいのか悩みます。


ルート的な完成度で言えば
スィーリア>>>|超えられない壁|>>>ノエル>>>美桜>>>>>>|超えられない壁||超えられない壁|>>>>>>リサ
位なんですが、正直アニメ見て、スィーリア先輩ルートやればこの作品の良さは全部体験できる感じはしました。


ぶっちゃけた話ですが、本作の後に放送されたアニメが良くまとまっていて、作品の雰囲気とかあらかたの流れを知りたいのであればアニメを見た方が早いです。
アニメを担当した監督は有能な監督で、原作の本作をプレイした後だと、ちゃんとそれぞれのルートの良い点を取捨選択したうえで上手くまとめているなと感じました。


キャラ:★★★★☆
ストーリー:★★★☆☆
CG:★★★★☆
エロ:★★★★☆
システム:★★★☆☆
音楽:★★★★☆

総合評価:70点

 

RIDDLE JOKER 感想

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▲発売日:2018年3月30日
▲メーカー:ゆずソフト
▲原画    :こぶいち むりりん こもわた遥華
▲シナリオ:保坂圭 天宮りつ 砥石大樹
▲声優:沢澤砂羽、遥そら、くすはらゆい、夏和小、西園純夏、他

 


●シナリオ
一言で言えば、異能力学園モノ+潜入モノです。アストラルと言う特殊能力がある世界で能力者を集めた学園が舞台で、そこに潜入するエージェントの主人公が暗躍するみたいな話なんですが、あまりどちらの要素も活かしきれているとは思えませんでした。
殆どのルートでですが、主人公のエージェントらしからぬ軽率な行動が目立つのもいけませんし能力的にも地味でスケールが小さいのもいけません。
折角の能力者設定もあやせルートのとあるトンデモアイテムのせいで能力者と無能力者の区別があまり意味を成してると思えませんし、第一、能力者同士のバトルシーンにも迫力がないんですよね。詳しいシナリオの評価についてはキャラクターの項目で述べていきたいと思います。
個人的に思ったことですが、作中のあやせのパッドネタや茉優先輩の年増自虐とか繰り返しすぎではないでしょうか。ちょっとクドい気がしますし、何回も繰り返すところが本作の物語としての引き出しの少なさを表している気がします。

 

●ボリューム
フルプライスゲームとしては及第点のボリュームですね。本作というよりは本メーカーのゲームにありがちですが、いかにキャラクターに萌えられるか、気に入るかによって評価が分かれるものだと思います。したがってその内容の多寡がボリューミーと取れるのか、或いは冗長と取ってしまうのか各ユーザーに評価が分かれるでしょうね。全体的に盛り上がりに欠けるシナリオなので、あとはグランドルートとかそういうのもあればいうことありませんでした。
ボリュームの項目に入れてよいのか悩みますが、本メーカーは各ヒロイン毎に主題歌が変わったりするのもいいですね。クリア後のおまけシナリオも充実していてキャラクターに萌えられるならボリュームにも満足いくのではないでしょうか。

 

●CG
美麗なグラフィックにボリュームも素晴らしいですね。SDキャラもキュートでカワイイものが多く、CG集として出しても十分な出来と言えます。
立ち絵もサブキャラに至るまで立ち絵が存在しており、フルプライスゲーとして及第点以上のボリューム&質です。

 

●キャラクター
・あやせ
ギニュー生徒会長。メインルートなだけあってシナリオの密度は本作屈指のクオリティです。ただ、やっぱりキャラゲーの域を出ないのかシナリオに粗が目立ちますね。
あやせがアストラル能力を付与する薬を使ってアストラル能力者を演じていた設定も政府隷下の特班のエージェントが知らないっていうのもおかしな話ですし、そもそもそんな薬開発できてるなら茉優先輩も琴里起こせてるのでは?
恭平の正体や柿本の本性が知れるのはこのルートだけですが、怪しさバリバリの柿本はともかく、恭平は唐突すぎるのでせめて別ルートでも伏線くらいは欲しかったです。後出しじゃんけんみたいな設定がありすぎてもう少し読み物としても頑張ってくれればよかったかなと感じました。いくらでも面白く作れそうな設定なんですけどねぇ…。
特に訓練も受けてないような柿本に後ろ取られて薬物注入されるエージェントの主人公ってダメダメすぎませんか…。
敢えて良い部分を取り上げるとしたら秘密を持った主人公に対するあやせが見せた懐の深さとそれに対する終盤の主人公の回答は良かったと思います。最後に秘密を打ち明けて終わるシーンはメインシナリオと相まって爽快感がありましたね。
恋愛ゲームと言う観点からしたら素の取り繕わない女友達のような関係のあやせルートの出来は良いです。デレデレにもなりすぎず、ツン要素も残してるのは良い塩梅だったんじゃないでしょうか。日常シーンでもエッチシーンでも貧乳ネタを頻繁に入れてくるので食傷気味にはなるんですが、そこは声優さんの実力によって救われてる部分が多々見受けられました。
彼女自身、能力者と本性と胸を偽ってて彼女のほうがよっぽどエージェント向きなのではないかなと感じます。

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本当に良い女です。

 

・七海
主人公の義妹。物語開始時にはすでに主人公に惚れていますが、それを我慢しており、このルートではある事件をきっかけに主人公の命の危機が迫ったことによって自分の思いを抑えきれなくなって付き合いだします。
彼女のルートも物語の核心には迫りませんが、七海と主人公の邂逅から今の関係に至るまでのなれそめを描いていてよかったですね。他人同士の疑似家族みたいな状態から本当の家族以上の存在になる…素晴らしいと思います。もう少し丁寧に描写していてくれれば言うことなかったですね。
本ルートでは、主人公と七海が所属している特班が解体の危機にさら曝されますが、アッサリと解決してしまいますし、そもそも周囲に妹って設定で通学しているのに妹と付き合ってても受け入れる周囲の懐の深さにちょっとビビリます。それでいいんか…。
しかし、彼女の性格の人見知りなのにコスプレイヤーって矛盾してません?案の定死に設定になってるし…。ぶっちゃけた話、七海は主人公が他のヒロインとくっつく時の悲しそうな表情してるほうがカワイイ…。好色な妹キャラっていいよね…。

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性欲強めの妹良いよね…。

 

・羽月
ムッツリ寮長。個人的には敵が小物かつ物語の核心には迫らないルートなので微妙でしたね(主人公の黒歴史時代の秘密の一端を担ってはいますが)。本ルートは愉快犯の学生を捕まえるって点では痴漢を捕まえる千咲とほぼ同じような展開です。
主人公も能力者とはいえ訓練も積んでないただの学生に負けるので何のためのエージェント設定なのかって思いました。木戸のほうがよっぽどエージェントとしての素質あるのでは?最後も最後で、申し訳程度に敵が改心しますがそこに至るまでの経緯とかそういったものを丁寧に描けばもう少し評価が上がったんですけどね……。下手したらサブヒロインの千咲のルートのほうが良かったまであります。
彼女自身の性格も自分に甘く他人に厳しい感じであまり好きになれないキャラでした。選択肢も他のキャラに比べて「中に出す/外に出す」の2択が3回でやる気のなさを感じます。ただエロシーンは彼女自身も好色かつ声優さんも声優さんなのでエロくてよかったですね。

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キャラクターの造形は良いんですけどねぇ…。ルートのクオリティが…。

 

・茉優
ポンコツ先輩キャラ。主人公とは孤児院時代の知り合いで彼女は孤児院時代の主人公に対して罪悪感を感じています。彼女自身七海と同じように共通ルートの時点でほぼ落ちてるようなものなので特段恋愛関係では書くべきことは無いですね。年上キャラなので主人公を引っ張ってあげようと気負い空振りする姿は可愛かったです。
さて、このルートは主人公の独断専行が目も当てられません。設定的にいくらでも面白く作れそうなのにその可能性を全て捨ててご都合主義に済ませるのはあまりにもあんまりな気がします。エージェントとしてあり得ない独断専行の連発にミスをやらかしても周囲の人間がフォローしてくれて事なきを得ていますが、それはちょっとご都合主義過ぎないかなと感じます。一度独断専行で室長にお叱りの言葉を受けながら日も経たないうちに潜入先の学園の理事長に全部ゲロっちゃうのはどうなんでしょうか?
茉優先輩との駆け引きも駆け引きになってませんでしたから頭の良いキャラクターを描くことの困難さを実感させられます。
折角拾ってくれた室長や七海に対しても迷惑が掛かりますし、一つ間違えれば彼らを危険に曝すことになります。エージェント以前に一個人の人間としてもあまりにも主人公個人の感情に突っ走りすぎなのではないでしょうか。
琴里の暴走も物語を進めるために理由もなく唐突に起こりますし、物語の核心に迫るシナリオなためか、あやせルートと同じくらいには粗が目立ちますね。すべての元凶の柿本も放置したままですし、ちょっとモヤモヤが残るルートでした。
先輩のエッチシーンでは眼鏡のオンオフの選択肢があるのは良かったと思います。

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そこがカワイイ。

 

・千咲
元気な一般人の後輩。サブヒロインなのでボリュームは薄めかつストーリーの核心にも迫りません。只管学園ラブコメを楽しむといった感じです。強いてよい点を挙げるとするならば、アストラル能力を持たない一般人の千咲(あやせも無能力者ではあるのですが)を通してアストラル能力者がこの世界ではどのような扱いをされてるのかも垣間見えるのは良いかな?と思います。
ロリキャラは彼女しかいないのでロリ好きにはいいのかな…?散々貧乳ネタを持ち出してたあやせ以上に立ち絵だと貧乳なので貧乳好きにもおすすめのキャラかな?ライブチャットしながら盛りあうシーンは割と好きでした。
本人もいい子なので特筆して語ることがありませんね。

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何事にもひたむきな後輩っていいよね…。

 

・恭平
親友ポジションキャラ。ヒロインからもカワイイと言われるほどの女顔キャラで、声優さん的にもヒロインとしてオマケルート作っても良かったんじゃないかってくらいには確かに見た目が可愛いですね。
あやせルートでのみ彼の本当の姿が分かるのですがそれが如何せん唐突すぎですね。強いて言うなら転校生に気軽に話しかけることも彼の本業の任務の一つなので後から考えてみると伏線だったのかなぁと感じる程度です。彼の能力や本当の姿の伏線が別ルートでも欲しい感じでした。

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共通ルートでも彼の本来の役目の伏線があればなぁ…。

 

●システム周辺
これ以上が望めるのでしょうか?エロゲーとして必要な機能以上のものが揃っています。これで満足できないユーザーは存在しないと言っても良いです。痒い所に手が届く様なシステム環境で高評価を与えられるでしょう。

 

●総評
エロゲーのライトユーザー向きのゲームかつ本メーカーが好きな方にはオススメができるといった評価です。シナリオを重視するならお勧めはしにくいかなと思います。シナリオ毎のクオリティの落差が激しく、なおかつメーカー側がライトな作品に仕上げたいのか掘り下げていけば重厚なストーリーになるような設定や要素の掘り下げをしていない為にシナリオゲームが好きな方にはオススメはできません。
ただ、大手ブランドの作品と言うだけあってシステム環境はエロゲーの中でも屈指の良環境ですし、CGは美麗で安定感がありますし、キャラクターに萌えられれば買いではあると思います。
攻略する上では物語の核心に迫る茉優とあやせは最後に持って行った方がいいでしょう。他のルートから攻略することを推奨します。

 

キャラ:★★★★☆
ストーリー:★★★☆☆
CG:★★★★☆
エロ:★★★★☆
システム:★★★★★
音楽:★★★☆☆

総合評価:75点

 

キミトユメミシ 感想

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▲発売日:2016年7月29日
▲メーカー:Laplacian
▲原画    :霜降
▲シナリオ:緒乃ワサビ
▲声優:桃山いおん三代眞子春乃いろは民安ともえあじ秋刀魚、他…

 

 

シナリオ
キミトユメミシというタイトル通り、主人公が持つ他人の夢を見る「夢見」の能力を使ってヒロイン毎の抱える悩みを解決する話です。この設定が活かせてたルートの完成度は高いのですが如何せんメインヒロインのルートがご都合主義感が強いのとオマケヒロインの肩透かし感が残念な作品でした。
他人の夢を見るという設定は活かし方次第でシナリオゲーでも名作になる設定だと思うのですが消化不良感が否めません。キャラクターも性格が良いキャラクターが多すぎて彼ら彼女らの内面の掘り下げがややできていない点も惜しいです。全体的に登場人物の悩みに対する葛藤や掘り下げができていないので、作中でトラブルがあってもすぐに解決してしまうのも気になるところですね。
物語的に大きな破綻もなく各ルートも全体的に小さくまとまった佳作と言っても良いかもしれません。(ヒロイン毎のルート評についてはキャラクターの項を参照。)

 

ボリューム

共通がやや短めで、メインルートは一般的なフルプライスゲーム程度のボリュームがあります。共通ルートも個別ルートも文章量自体は長すぎず短すぎずちょうど良い感じですが内面の掘り下げが(略)。無料でプレイできると考えると破格のボリュームですが。
クリア後の強くってニューゲームや各ヒロインのおまけシナリオも2つずつ(1つはギャグパート、もう一つはエッチパート)用意されている気合の入り方はユーザーの満足感を満たしてくれます。クリア後のキャラクターたちの進んだ関係性をもう少しだけ見ることができるのも有難いですね。
クリア後にタイトル画面の右上にある企業ロゴをクリックするとスタッフコメントに飛べる遊び心もいいですねぇ。こういうのでいいんだよ…。こういうので。

 

CG
本作が発売された当時の商業ゲー以上のクオリティですね。本作発売から数年経過した本記事執筆時点(2022年2月)でも十分にプレイに耐えられるクオリティでした。
エッチCGも枚数や差分も申し分なく、シチュや体位もバリエーションが豊富です。SDキャラのCGも可愛いものが多く満足感は高いでしょう。
気になる点としては、本作のヒロインから女性キャラは(一部を除いて)巨乳しかいない、というか貧乳扱いされているキャラですら普通以上のバストなので、そこは人の好みが分かれるかもしれません。本作のCGの項目で特筆すべきは処女膜教授やルーク(飼い犬)などのチョイ役のキャラクターにも立ち絵や表情差分が用意されていたり、グラフィッカーの熱意を感じました。素晴らしいですね。

 

キャラクター
・西崎由衣
活発で世話焼きな元気っ娘。
彼女のルートは過去のみこととの確執を解消できずにしかも解消することが不可能な状態にあることを悩みを持つ彼女を支える内容。彼女はメインヒロインなだけあってノーマルエンドとトゥルーエンドの2ルートあります。正直由衣だけでなくすべてのヒロインに言えることですが、本作はキャラクターの心情描写が薄く、主人公を好きになる過程が雑なんですね。いつの間にか好きになっていたのもアリと言えばアリですが、もう少し何とかならなかったのかなと言う印象を抱きました。彼女だけ「夢」の部分が薄いんですよね。
トゥルーエンドも少々強引な感じが否めません。匂いで結びつけるのもちょっと展開が急すぎますねぇ…。キャラクターは良いだけに惜しいです。

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・東条七ノ羽
見た目に反して肉食系な小説家志望の女の子。彼女のルートは後述する真里奈ルートと同じく、親子関係の問題を解消しつつ彼女の夢を後押しするというルートです。彼女と真里奈のルートが一番学園ラブコメ感ありましたね。
彼女の親友にしか見せたことがない自作小説を主人公に見せるシーンや見た目に反して芯が強くドSな面はギャップ萌えしました。
このルートは彼女の父親がいいキャラしてますね。本ルートの第二の主人公と言ってもいいかもしれません。編集者が尋ねてくる等やや展開がご都合主義の感じはありましたが、彼女の「夢」を追い続ける姿を通じて自身の物書きとしての「夢」を再び追い出すのは見ていてさわやかな読了感を味わいました。

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・柊真里奈
家の事情で医学部を目指しながらも本音の部分ではピアニストを夢見ている生徒会長。彼女のルートは家族の為に夢を諦めている彼女を「夢」を通じて夢を応援する内容です。彼女のルートも七ノ羽や時雨と同じく家族が本質的なテーマですね。真里奈を育てるために夢を諦めざるを得なかった真里奈の母親と養父の真里奈に病院を継がせるという夢、それぞれの夢が交錯していて味わい深いルートでした。
ルートの終盤、努力しながらも結局は時間が足りず、結局コンクールで上手くいかないのも都合よすぎない感じで良いですね。このコンクールはあくまでも彼女の「夢」の途中にあってユメミシ途中にあるだけなのでこの終わらせ方でイイのです。
このルートは他のルートでは嫌味なだけの千明先生が良い仕事しますね。ある意味真里奈の夢を叶えた人生の先達として若者を導いているキャラなので主観バリバリですけど地味に好きなキャラでした。
多分この娘の夢エッチが一番あたまがおかしい。チンコになるヒロインって前代未聞ですよ。体舐めあうの好きだしバター犬か?

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・チジョフ・時雨
見た目は爆乳美少女、中身は小学生男子。日常パートのギャグは彼女とモモケンが担っていたと言っても過言ではありません。自称「元気な下ネタカタパルト」なだけあって普段の言動はクソガ…小学生男子で色気のかけらもないのですが、内面に抱える繊細な一面のギャップは良いですね。彼女の今の性格の根幹を形成したバレーに情熱を燃やしているって設定もスポコン的で好きです。
彼女のルートは問題だらけのバレー部のマネージャーとして彼女を支えて試合に勝利する…という王道スポコンなのですが物語として起伏がしっかりしているのがいいですね。それぞれの部員が抱える問題を時雨と一緒に解決していき、チームを団結させる。それがうまく物語のメリハリに貢献していますが、ボリュームの関係なのかやや学生にしてはモノわかりが良いイメージがあります。カスミ先輩オチたら早いなぁとか。
ぶっちゃけ痴女みたいな名前してますが、他のヒロインに比べたら言うほど痴女でもないしむしろ純情生娘でヤマトナデシコでそこもセールスポイントかなぁと。
『時雨Dictionary』は名曲。彼女のルートを攻略した後に聞いてみると味わいが何倍にも膨れ上がります。デムパ曲でありながらスルメ曲…良いね。

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・小鳥遊みこと
彼女のルートが実質的な本作のメインルートなんでしょうが正直肩透かし感は否めませんでした。由衣の「夢」と言うか心残りが解消された後のルートで、最初からみことが惚れているのもありますが、本編のみことの一件が無いので主人公とキャラクターの友好関係が薄く、どこか表面的な付き合いにしかなってないんですよね。
長く、本編をプレイし続けてこのルートの空気は合いませんでしたね…。
特筆して書くべきことがありません。

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・モモケン
良作には男の友人キャラが良いキャラしてるのは必須条件と言うのは持論ですが、本キャラは本当に良いキャラしてましたね。顔良し、性格良し、時にギャグキャラ、時に悩める主人公を導く友人キャラをこなすバイプレイヤーぶり。日常パートどころか各ヒロインルートに入ってもこのキャラの存在が無ければ成り立たないことも多くサブキャラどころかメインキャラと言っても過言ではありません。この作品で一番好きなのは彼かもしれません。ぜひ友人になってみたい。

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システム周辺
基本的なシステム回りは一般的なエロゲと同程度にあるので快適にプレイできます。また、最初から全ルート開放できたりユーザーにフレンドリーなシステム回りは高評価。敢えてマイナス点を挙げるとすると動作が重いのが気になります。オートモードでプレイしてる際は特に顕著に感じますのでその点はマイナス。
また、全ヒロインクリアしたはずなのに一向に「つよくってニューゲーム」が出ないと思ったら、どうやら「ゲームスタート」を選ぶとクリアフラグがリセットされてしまうらしく、致命的なバグではないがマイナスポイント。

 

総評
シナリオのインパクトが弱い気がします。どのキャラのルートもどこかで見たことがあるような話で、エロゲーを数本プレイしたことがある方なら物語の展開が読めてしまいます。逆に言えばそれくらいエロゲーのシナリオの王道をなぞれていて安定感や完成度自体は高いです。なのでエロゲーの初心者にはオススメできる作品と言えるでしょう。
本作の根幹のテーマを為す「夢」一部ルートを除いては主人公の他人の「夢」を見れる設定を通して各ヒロインの悩みを解決し「夢」を成就させる王道ストーリーとして上手く活かされていたと思います。不愉快なキャラも一部を除いておらず、読みやすいのも高評価。
ただ、本作はメーカー処女作ゆえか、シナリオが小奇麗にまとまりすぎている点があり、大まかにどんなゲームを目指したいのか(シナリオやキャラ重視なのか)コンセプトがやや不明瞭でとっ散らかった印象を受けました。設定が良いだけにもう少し調理次第で化ける雰囲気を感じただけに勿体ないです。
総括として、本記事執筆当時2022年2月現在、無料でプレイできるのでやや甘めの評価ですが、時間があればやっておいて損はないでしょう。処女作でありながら佳作でメーカーとしての地力の高さを垣間見ました。

 

キャラ:★★★★☆
ストーリー:★★★★☆
CG:★★★★☆
エロ:★★★★☆
システム:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆

総合評価:70点/100点

 

以下、本作のダウンロードページ
https://dlsoft.dmm.co.jp/detail/hobe_0400/?item=FQJXWAtTHVpXB1RnAwJWBw__

ピュア×コネクト 感想

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ピュア×コネクト

▲発売日:2015年5月29日
▲メーカー:SMEE
▲原画 :あめとゆき
▲シナリオ:早瀬ゆう
▲声優:春日アン、新山ゆうき、柚木サチ森谷実園、井ノ上花、他…
▲歌手:霜月はるか
▲ディレクター:宅本うと

 

※以下、ネタバレが含まれます。苦手な方はご注意を。

 

●シナリオ


・あらすじ
バイト先が倒産し、次のバイト先を探していた大学生の主人公はひょんな事から知り合ったベーカリーレストラン経営者の牧原志帆にスカウトされ、彼女の経営する店「ラ・ピヴォワーヌ」でバイト生活が始まります。そこで働く女性キャラとの恋愛シュミレーションを楽しむのが本作の主なシナリオです。


・良かった点
萌えゲーアワード2015年シナリオ部門金賞受賞というだけあって主人公と女性キャラクターの邂逅から関係に発展していくまでをポップかつ丁寧に描写していく様は本作のコンセプトである疑似恋愛感を十二分に発揮しているのではないかと感じます。ゲーム開始時に主人公の名前を変えることもできるので没入感が得られる仕様になってるのも親切設計ですね。共通ルートの途中でヒロインとメールのやり取りをしたり、ヒロインの抱える問題を解決に導いたり主人公とヒロインの恋に落ちる過程がちゃんと描かれていたのも良かったです。
選択肢によってヒロインに告白もできるしヒロインから告白されることもできるのは面白い取り組みだと思いますし、ヒロイン毎に告白の方法にバリエーションがあるのも素晴らしいですね。
余計なシリアスを極力省き、付き合い立ての一番”おいしい”時期の主人公とヒロインのイチャイチャ甘々な展開を楽しむことができるのも某グルメ漫画の主人公の様に「ほー いいじゃないか こういうのでいいんだよこういうので」といった感想を抱きます。ライターの文体もライトな感じで難解な単語や言い回しを用いず、スラスラ読んでいけるのも高評価です。


・残念な点
本作のコンセプトのうちの一つであるメールシステムはメールの文面は決まったものしか送れず、全てのチャプターでメールを送ったとしてもその後の展開が数行しか変わらないのであまり必要性を感じませんでした。公式HPに大々的にコンセプトとして記載するならもう少し有効に機能させる方法もあったのではないかと感じます。
また、物語が冬という季節柄もあるのでしょうが、個別ルートに入ってから展開の仕方がやや雑なところが見られたのは残念でした。というのも空、彩里沙ルートともにヒロインが風邪をひいたり、志帆ルートでは生理や過労で体調不良になったり…話に起伏を付けようとするのはわかりますが、ワンパターンに体調不良に陥る展開が多いのは食傷気味になるので、もう少し違った展開が欲しかったです。
一部を除くとエピローグらしいエピローグもなくブツ切り感のある終わり方するのも気になります。余韻に浸る前にEDに入るので「あれっ?これで終わり?」みたいな感じになりました。もう少し彼女たちの恋愛のその後を見たかったです。

 

●ボリューム


共通が短く個別ルート選択後もやや共通した展開が其々続き、クリスマス後に告白し、独立した個別ルートに入るという感じですね。個別ルートの文量自体は、長くもなく短くもなく、よくあるエロゲーの文量と同程度といったボリューム感です。付き合いたて初期の甘々なイチャラブ展開が続くのでそんなに長く続けるのは難しいでしょうしこれくらいが妥当だと思います。不満は特に感じませんでした。
ただ、シナリオの項で述べたようにED後のエピローグが欲しかったですね。良いキャラが揃っていただけにもう少し彼女たちの恋愛模様を見ていたかったです。

 

●CG


本作が発売された時期を考慮しても立ち絵が00年代の萌え絵っぽく、懐かしさを感じさせますね。その点は好みが分かれると思いますが私個人としてはそこまで気になりませんでした。一部、立ち絵やCGに骨格がおかしいのでは?と感じるものもありますが塗りも丁寧で好感が持てます。
本作のCGで特筆すべき点は、女性原画家が担当しているという点だと思います。女性原画家の利点を生かし、女性キャラクターのアクセサリーや小物類の多さ、下着の丁寧なデザインは男性原画家にはおいそれと真似できないレベルです。デート時にヒロインたちの髪型が変わるのも素晴らしいです。キャラクターの服装も普段の制服や私服とは打って変わり、気合の入ったものが多く見ていて飽きが来ません。エロCGでは乳首の勃起差分など作り手のこだわりを感じました。
公式HPにて配布されている修正パッチ兼服装透過パッチを充てるとゲーム中にF12を押すことでキャラクターの立ち絵を裸にすることもできるのはユーザーフレンドリーな感じで好感が持てます。各キャラともピロートークのCGが用意されていたのも個人的には評価が高いです。
とあるルートで主人公愛用のオナホたちが悲劇的な最期を遂げますが、事件後、主人公の部屋のCGが変化するのは芸が細かいなと関心させられました。まさ子(オナホ)、ひろ美(オナホ)は遺影なのに対してキャサリン(オナホ)だけ十字架になってるのも併せて芸が細かかくて笑いました。

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 在りし日のオナホたち

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その後(背景にご注目ください)

 

●キャラクター


・空 
主人公の幼馴染。主人公のチンコでボクシングや輪投げしたり「乙女のため息」(オナラ)したり割とぶっ飛んだキャラクターです。でもそんな女性として全てを捨ててるようなキャラクターなのに可愛く見えるんですからライターの筆力に驚かされますね。
彼女のルートは幼馴染キャラ特有の実家のような安心感と言いますか、初デートでも熟年夫婦ような関係性がいいですね。それでいて初体験ではお互いドギマギしたり…。初デートの際に志帆に嫉妬したり、果てはモノにも嫉妬し始めるのは独占欲むき出しでかわいいですね。
普段は変に女性らしさを感じさせないような性格なのにふとした瞬間にやっぱり女性なんだな…と隠された魅力に気が付いていく…そんな関係性うらやましいです。いや、ホントに。付き合う前はお互いがお互いの知らないことは無いと思っていながら、いざ付き合うとお互いが知らないことだらけで、改めてお互いを知っていくって展開も王道なシチュながら良かったです。
ギャグテイストなのが救いですが、流石にまさ子たちオナホにまで嫉妬してコンロで燃やすのはどうかと思いました。そこまで独占欲むき出しっていうのも大人でも子供でもない大学生という微妙な年代の未熟な精神性が表現できててカワイイといえばカワイイんですけどね。

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普段はぞんざいな扱いだけど独占欲はむき出しなのイイですね。

 

・志帆
ババァ!俺だ!結婚してくれ!主人公のバイト先「ラ・ピヴォワーヌ」の支配人。公私に厳しさと優しさとお茶目さを兼ね備えた大人な女性。普段は開き直ってババアを自称してますが個別ルートでは若い彼女がいいんじゃないかと一人で懊悩したり、可愛らしいです。占いゲームにも対抗意識燃やしたり色々と年齢を感じさせないお茶目なところが魅力的。
彼女のルートは早い段階で彼女の家で同棲しますが、ヒモになった気分を味わえます。ミツグ君じゃなくミツグちゃんですね。年上彼女らしくほぼ全編にわたって主導権は彼女にありますが、仕事で弱った彼女を公私共に支え、イザという時に決める主人公でちゃんとバランスが取れていたと思います。
彼女のルートでだけ彼女が大切にしている愛車に乗せてくれたり、他のルートでは教えてくれない「ピヴォワーヌ」の店名の由来を教えてくれるのはベタな演出ですが良かったですね。
彼女のルートで唯一気になった点は萌美が過労で倒れ、そこで従業員との確執を描いたのに対してその問題を放置した点です。その後、慰めックスに移行する展開にしたかったのでしょうが、ほぼノーストレスな本作では珍しいシリアスシーンだったので余計に気になります。折角、大人の女性との恋愛ルートだったので社会人特有のシリアスを入れるなら放置せず、解決まで描いてほしかったです。
個人的に年齢の自虐ネタ狂おしいほど好きでした。

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個人的に志帆の父親のセリフにクるものがありました。労働はクソ、はっきりわかんだね。

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アマガミの梨穂子みたいな選択肢

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 ジト目の表情がたまらなく好き。

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どこかで新品ババア安売りしてないかなぁ…。

 

・萌美
ムードメーカーな元気っ娘。結婚するならこんな女性がいいですね。料理、裁縫、家事全般なんでもござれ、所帯じみた女性っていいよね…。いい…。(自己完結)
女性としての自信の無さから共通ルートでは女を捨てて(公式紹介文ママ)おり、表情スチルもどこかアサプロ然としたギャグテイストなモノが多いです。三枚目を自覚する彼女が実は乙女で、恋を自覚してからも超奥手ってのはベタながらそそられる設定ですね。しかもちゃんとカワイイんだからすごいですよ。そんな彼女が勇気を出して逆告白するシーンは一見の価値があります。
個別ルートで貧乏な彼女が背伸びしておしゃれコーデでデートに来る姿はキュン死します。恋する乙女になってもどこか所帯じみたオカン感が抜けない彼女ですが、それでいいんです。それ”が”いいんです!(語気強め)。大学デートで弁当と水筒持ってくるところなんて彼女らしさ爆発ですよ。付き合いだすと自分の気持ちを押し殺しがちだった彼女が独占欲を出してくるのもポイント高いです。でも結局、根が優しい彼女は自分の欲望より家族を優先してしまうところも彼女らしさが出てて良いルートでした。一緒に料理作ったり、日常のありふれたささやかな幸せをかみしめる…結婚するなら彼女一択ですね。
全体的にこのルートは家族愛をテーマにしているのかなと感じます。家族思いな彼女に呼応する形で彼女の家族も良い人ぞろい。普段生意気な彼女の妹もその実、姉を心配しているいい子で、プレイすると幸せな気持ちになります。
エチエチシチュでは、家族が寝てる横で主人公と致してしまうのとかエッチなシチュでした。
余談ですが、この子だけ初回特典のタペストリーが無いのは納得いきませんね(憤怒)。可愛いのに。

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この子の魅力が集約されたシーン

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家族想いな優しい子

 

・彩里沙
堅物真面目キャラだけど学校の成績は5教科赤点の壊滅的なおバカ。おちょくるとカワイイみんなのいじられキャラでもある。読モ女子。共通ルートでは近寄りがたい真面目なオーラ全開の彼女ですが付き合った途端、豹変します。程度の差こそあれ『つよきす 一学期』の椰子なごみを彷彿とさせる変貌っぷりです。
そんな彼女のルートは一言で言うとゲロ甘。砂糖の他に人工甘味料マシマシ全部乗せみたいなルートでした。後輩キャラという立ち位置も手伝い、年下らしいエネルギッシュな若さとパッションが迸ります。普段尊敬してる空にすら嫉妬するのは若くて微笑ましいですね。
主人公のことが好きすぎて随所にヤンデレ感を出してきますが、彼女自身がアホキャラなのも幸いしてライトなラブコメに仕上がってます。ただ、先述の通り、ゲロ甘ルートなので時にはバカップル通り越して頭が心配になるくらいには振り切れてますね。彼女の行き過ぎた暴走を主人公が年上彼氏としておちょくりながら上手に操縦しているのは年齢差のあるカップルの描写として良く表現できていると思います。他ルートの話になりますが、年齢的に年下彼氏になる志帆ルートになると全体的に主人公が志帆に操縦される感じが出てたのもライターの力量を感じさせました。
愛情が重い年下彼女とのイチャラブコメディが読みたい方にオススメのルートです。ギャップで可愛すぎて血と砂糖が出てきます。共通や個別ルート直後は殻の中に閉じこもっているだけの未熟な子供だった彼女が主人公を通して精神的に成長していき、最後には母親との行き違いも解決し大団円…という感じで個人的にかなり好きなルートでした。
これは本当に細かなことですが、普通に制服でラブホに行くのはどうかと思うのと別ルートだと彩里沙は主人公たちの大学に何度も潜入しているって設定だったのが本ルートだと大学に行くのは初めてとなっており、やや設定が統一されていない箇所が見受けられるのは残念でした。

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これでキュン死しました

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しょっちゅう曇ります(カワイイ)

 

・あゆみ
おっぱいデッカ!!!主人公の従姉妹。最初から割と主人公に対する好感度が高いので個別ルートに入ってからもすぐにイチャラブセックスにもつれ込みます。おしとやかかつ臆病そうに見えて、割と気が強い性格してると思います。九州の女は強い。
デート中に彼女のアレが濡れてきたり、性欲とは無縁そうな貞淑さと可愛さの塊みたいな子が実は性欲魔人っていう設定は良いですね。セックスも日々研究して快感に対して貪欲。作中オナニー描写がはっきりと描かれていたりアナルセックスするのはこの子だけです。
正直な話、彼女のルートは”カワイイ”…それしかいうことがないですね。元々、両家の親公認みたいなところもあり交際に際して障害みたいなのもないので付き合いだすと只管イチャラブ展開が続きます。何か普通にいい子過ぎて特に書くことがありません。年下の庇護欲そそられる女の子とのイチャラブが楽しみたい方向けです。

 

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けなげで一途、よいこやなぁ…

 

●システム周辺


共通ルートが短く、分岐後からも共通ルートが続くので選択肢まで一気にスキップできる機能が欲しかったですね。スキップモード自体は搭載されているものの次の選択肢迄一気にスキップできないのでやや時間を取られ、作業感を感じるのが気になりました。また、修正パッチを途中からインストールするとセーブデータの大多数が消えたり、セーブ箇所が移動したりするのは残念な点でした。
ウィンドウを消してキャラクターの立ち絵にクリックするとクリックした部位によって様々なセリフをしゃべるのも遊び心があっていいですね。着衣差分や好感度によって喋る内容が変わるのも芸が細かくて素晴らしいです。
シナリオの項でも述べましたが本作は主人公名を変えることができます。それに連動して作中キャラクターの主人公に対する呼称も変化するのでぜひお試しあれ。このようなかゆいところに手が届くシステムなのは作り手の気合の入れ方が伝わってきて良いですね。

 

●総評


メールシステムや周回プレイをした際にシステム面でやや不親切な設計があるもののキャラ(萌え)ゲーらしくシリアスは皆無に等しく、ノーストレスで美少女&美女との恋愛を楽しめます。主人公もウジウジしない男らしさと行動力を持ち合わせているので見ていて不快感がなかったです。
これは持論ですがキャラゲーはライターの実力も然ることながら、主人公及び男性サブキャラクターの性格如何によってクオリティが左右されると思うので今作は個人的に当たりでした。
体験版で主人公の性格とライターのノリに合うと思ったならプレイしても損はないと思います。若干古めのゲームなので安価で手に入りやすいのもおすすめポイントです。

 

以下体験版ダウンロードURLです。興味があれば是非。
http://www.hook-net.jp/smee/pureconnect/special/trial.html

 

www.youtube.com


キャラ:★★★★☆
ストーリー:★★★★☆
CG:★★★★☆
エロ:★★★☆☆
システム:★★☆☆☆
音楽:★★★★☆

総合評価:85点/100点