活動記録

主にアニメやエロゲのレビューしていくつもりですが、ジャンル問わず色んな事について書くと思います。

ワルキューレロマンツェ 少女騎士物語 感想

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▲発売日:2011-10-28
▲メーカー:Ricotta
▲原画    :こもりけい ひづき夜宵
▲シナリオ:    北川晴 おるごぅる、他
▲声優:かわしまりの、島原蘭、夏野こおり、茉田部里依紗、他

 


●シナリオ
恋する少女騎士おとめは奇跡を起こす――
華麗にして、勇壮な戦い!そして学園生たちを魅了する、ジョスト(馬上槍試合)。
主人公――水野貴弘(みずのたかひろ)は、その馬上の騎士を支えるベグライター(騎士補佐)を専攻しながらも、どこか退屈した学園生活を過ごしていた。
貴弘は子供の頃、母国のジュニア選手権で敵無しと称され、自らの力を試すために留学したが、期待を受けた大会決勝で怪我をし、引退をしたという苦い思い出があった。
近づいてくる年に一度の大会に向け、盛り上がっていく学園。
出会った少女騎士を支えたい!との思いから、強きパートナーとなるべく決意する貴弘。
そして、目指すのは、もちろん大会での優勝!
挫折した元騎士のべグライターと少女騎士の、長く熱い戦いの日々が始まる!!(以上、公式サイトより)

2013年にはアニメ化もされた本作。主人公は将来を嘱望された元騎士ながら、ある事故でベグライターに転向した過去を持つ学生ですが、どのルートでもその設定がいかんなく発揮されていたのは良い点だと思います。
ジョストがどういった競技なのか、我々日本人には馴染みが薄いですが、制作陣もその点を懸念したのか作中で初心者の美桜がひょんなことからジョストをしながらプレイヤーと同じ目線でジョストがどういった競技なのか描かれていくので初心者にも競技のルールがわかる親切設計も高評価。
肝心のシナリオのクオリティですが、ルート毎に出来不出来の差が激しいですね。特にリサルートは評価が分かれるところでしょう。メインの美桜やスィーリア先輩のルートはしっかりとした作り、かつ読後感も爽やかに終われますが、ノエルとリサのルートは主人公的にも消化不良感を感じざるを得ない出来でした。
詳しくはキャラクターの項目で述べますが、全てのルートが美桜やスィーリア先輩のようなクオリティであればもう少し評価ができるシナリオだったと思います。
構成も共通ルートから個別ルートに分岐して1,2回エッチして大会中に2回ほどエッチ、途中学園祭をはさんで決勝や問題解決みたいなワンパターンの構成なのも多少目につきます。

 

●ボリューム
ひょんなことから普通科の美桜がジョストを行い勝利するまでを共通ルートとして、個別ルートに入ってからも各ルート共通ルート並みのボリュームがあって満足感は高いです。プレイ時間としては各ルート、普通に読み進めて4,5時間くらいでしょうか。
メーカー的にもエッチシーンに力を入れている為かエッチシーンの描写が非常に長い。個別ルートに入ってから体感では3から4分の1くらいはエッチシーンじゃないでしょうか。抜きゲーとみるならクリア後のオマケのエッチシーンも併せて非常に満足のいくボリュームだと思います。
逆にエッチシーンにボリュームが割かれている為か、キャラクター同士の掛け合いや個別ルートに入ってからの恋愛描写、試合描写はやや駆け足気味なのでそちらを楽しみたい方には満足感が少ないかもしれません。

 

●CG
メインCGにこもりけい、SDキャラのCGにひづき夜宵と分担している為、キャラクター毎のCGに絵師ごとのバラつきやクオリティに差が無く、どのCGも当時としてもクオリティが高いものが揃っています。一部(スィーリア先輩のエッチシーンなど)に少々作画不安定なものが見られなくもないですが、抜きゲーとして高水準なレベルにまとまっています。特に作画が難しい甲冑や馬も主だったキャラクターの立ち絵差分が用意されているなど高いレベルで作画が安定しているのも高評価。殆どのサブキャラクターにも専用の立ち絵CGが作られているのも良いですね。
SDキャラも本作の等身高めなキャラクターが多い中、各キャラクターかわいく描かれているのは良かったと思います。

 

●キャラクター
スィーリア・クマーニ・エイントリー
完璧超人学生会長。彼女のルートが本作では一番完成度が高いです。彼女のルートは彼女の兄で主人公の元師匠ユリアーヌスと戦う展開になるのですが、主人公と師匠の過去の確執も彼女と共に試合に取り組むことで解決し、彼女と関わっていくうちに主人公もまた騎士として再起します。ある種、美桜ルートよりも話の整合性が付いており、かつ主人公も騎士に戻るという大団円ルートで読後の満足感が高いルートでした。
彼女は国内でも並び立つものが殆どいない(ユリアーヌスは別として)ような実力なので大会に勝ち進むのは当然ですが、そこに主人公が補佐として付くことで国内最強の騎士ユリアーヌスとの戦いでも勝ち負けできるほどの実力に底上げしていく展開は設定的にも整合性が取れており純粋なスポコン物として機能していたと思います。特に彼女のルートでは主人公がユリアーヌスの元弟子で将来を有望視されていた元騎士と言う設定が活かされるのがいいですね。主人公の過去の経験を踏まえて提案される作戦の数々+スィーリア先輩の実力で国内最強のユリアーヌスに挑む展開はどのルートの試合よりも話とバランスが取れていました。
学園内に敵なしの無敵の彼女が可愛いもの好きで、その強さゆえに孤独を感じている年頃の女の子ってありがちな設定もオーソドックスでイイと思います。普段は凛々しくしっかり者の彼女がHに夢中になりながらアヘ顔を晒すのを見ると無様エロに嵌る方々の気持ちが分かる気がします。大会中にHをして更に強くなるのは笑いました。

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精神的にも人格的にも能力的にも強すぎる先輩が頑張るの良いよね…。

 

ノエル・マーレス・アスコット
このルートはノエルの家族の物語でしたね。妹のミレイユや父親のために頑張るノエルを主人公が支える物語。彼女のルートは最終的に主人公がノエルの家に婿入りして騎士に戻らないのでバッドエンド感があってその点は好きではなかったですね。物語的にはまとまっていてその点は好きなんですけどねぇ。
努力しても結局スィーリア先輩には勝てない現実的な落としどころと某アニメの「ク〇ラが立った」的なご都合主義的展開が並立していてバランスは良かったと思います。
ただ、家族の問題にフォーカスするなら、親を説得する大事なところをミレイユ任せにするのはどうかと思います。もう少しノエル本人が解決してほしいなと思いますね。侯爵も急に心変わりしすぎじゃない?いや侯爵って親バカだけど、大事な愛娘に家出されてミレイユにも嫌われたらってなったらそうなるの…かな?
結局互いが互いを想いあうがために引き起こされるすれ違いを解決する感じで読み物としてもそこそこのまとまりがあって良かったんじゃないでしょうか。ミレイユも良い子だし。

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侯爵令嬢らしからぬ(誉め言葉)アクティブさが可愛いですよね。

 

リサ・エオストレ
貧乳ロリ後輩天才騎士。個人的にはこのルートが一番出来悪いですね。その一番の理由がフィオナの存在です。彼女の存在さえなければまだマシなんですけどね。
彼女のルートは彼女自身の過去や天性の才能故に人を信用できない孤独な少女が主人公との交流を通して人として成長していく物語です。まとめてしまえばこんな感じなのですが、話を進めるためにやや強引な話の展開や設定が続くのが気になります。
例えば、頑なにベグライターは要らないと拒み続ける彼女に対してスィーリア先輩やノエルにもベグライターとして誘われてる状況の主人公がしつこい勧誘をしている点。他にも心を開いたはずのリサがフィオナの流言飛語で簡単に主人公を拒絶する様も強引な展開だと感じます。
些細な点まで数え挙げたらきりがありません。主人公を好きになる理由も正直薄いんですよね。猫(ささみ)を探していたら好きになっていたって感じでもう少し好きになるしっかりした理由を描けていればよかったですね。
フィオナが暗黒面に落ちてる理由も改心する理由もあまりにもアッサリしすぎてる上にペナルティも無いのはちょっと…どうなんですかね。
しかもスィーリアルートだとベグライター無しでも普通に大会の決勝まで勝ち上がってくるリサがこのルートだとやっとの思いで決勝まで行くのでそもそもベグライターとしての主人公は必要あったのだろうかと言う気持ちにもさせられました。
他のルートの主人公が深入りしないルートだと「やや生意気な後輩」で済むのですが、このルートのリサは他のルートに比べて子供と言うより精神が未熟なガキ感が強くていけませんね。勿論他のキャラクターもルート毎に若干の性格のばらつきは見られますが、このルートのリサは酷いです。フィオナが絡むと特にひどい。
リサ単体だと可愛くて良いんですけどねぇ…もう少し話の見せ方があったんじゃないでしょうか。

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単体だと可愛いんですけどね…。

 

希咲 美桜
彼女のルートが一番、王道ではあります。実は才能に溢れた素人が大会の台風の目になる…スポコンモノにありがちな話ですが、このルートはご都合主義すぎる点も多々見受けられるのが痛いですね。話の完成度としてはスィーリア先輩ルートの次に来る完成度だとは思いますが。
彼女のシナリオは王道のスポコン。共通ルートのジョストの決闘を通してジョストの楽しさに魅了された美桜がジョストの大会に出て優勝するために頑張る話です。当然、才能があるとはいえ素人に毛が生えた程度の彼女を勝たせるためには様々なご都合主義とも呼ばれる数々の要素が必要になります。ここがこのルートの問題点です。幾らかのご都合主義なら許容できますが、彼女のルートはご都合主義が過ぎます。茜やノエルに勝つのはまだしも、才能のあるノエルや作中天才とも謳われるリサですら勝てないスィーリア先輩にまぐれとはいえ勝ってしまうのはご都合主義の極みです。ノエルルートのノエルやリサルートのリサですらスィーリア先輩に勝てないのですからもう少し現実的な持って行き方や落としどころがあったのではないかと感じざるを得ません。結局、美桜も大会後に騎士辞めるなら当て馬みたいなところがあってやや消化不良。
とはいえ、他のルートでは秘めた思いをひた隠しにして主人公と他のヒロインの恋路を応援する素直で純真な彼女が主人公と付き合う展開や、美桜の頑張る姿を通して主人公が騎士になるために再起を図るのは良いオチだと思いますし、主人公が騎士に戻らないノエルやリサのルートに比べるとグッドエンド感があるのは評価できます。

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ぶっちゃけ髪切らない方がよかった気がします。

 

●システム周辺
10年以上前(2011年発売)のゲームなのでシステム面では現在のゲームには及びませんが、ゲームを快適に楽しむうえでの最低限度のシステムは備えてます。強いて言うのならバックログでそのシーンにジャンプする機能が欲しかったくらいでしょうか。また、周回プレイをする上でスキップ機能で飛ばすことしかできないのがやや難点ですが、これも上記の古いゲームと言う点を考えれば許容範囲でしょう。
文章の方でもやや誤字脱字が散見されるのが気になりますが許容範囲内。

 

●総評
スポコンモノや抜きゲーとして見るならそこそこ満足感があるのではないでしょうか。システム回りも最低限度揃ってますし、不完全燃焼のルートも散見される本作はどう評価すればいいのか悩みます。


ルート的な完成度で言えば
スィーリア>>>|超えられない壁|>>>ノエル>>>美桜>>>>>>|超えられない壁||超えられない壁|>>>>>>リサ
位なんですが、正直アニメ見て、スィーリア先輩ルートやればこの作品の良さは全部体験できる感じはしました。


ぶっちゃけた話ですが、本作の後に放送されたアニメが良くまとまっていて、作品の雰囲気とかあらかたの流れを知りたいのであればアニメを見た方が早いです。
アニメを担当した監督は有能な監督で、原作の本作をプレイした後だと、ちゃんとそれぞれのルートの良い点を取捨選択したうえで上手くまとめているなと感じました。


キャラ:★★★★☆
ストーリー:★★★☆☆
CG:★★★★☆
エロ:★★★★☆
システム:★★★☆☆
音楽:★★★★☆

総合評価:70点