活動記録

主にアニメやエロゲのレビューしていくつもりですが、ジャンル問わず色んな事について書くと思います。

恋愛×ロワイアル 感想

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恋愛×ロワイアル

▲発売日:2020年11月27日
▲メーカー:ASaProject
▲原画 :夕凪セシナ、結城リカ、冬壱もんめ
▲シナリオ:八日なのか
▲声優:東雲りあ、杏子御津、白月かなめ、木之みき、他
▲歌手:佐咲紗花(OP曲「恋愛×勝負」)
▲ディレクター:天都

 

※以下の文にはネタバレが含まれます。ご注意ください。

 

●シナリオ&ボリューム


平坦
単刀直入に言ってしまうと内容もボリュームもコンドームのように薄い。とにかく薄い。共通ルートが下手したらそこら辺のエロゲの個別ルート並みの短さです。HOOKSOFT系列特有のファンディスク(以下FD)商法もといFDの発売が決定してるみたいですが、フルプライスならもう少し本作でもボリュームを増やしてほしかったですね。


感情移入
本作はサイコパス主人公を変人ヒロインたちが取りあうのが話の大筋ですが、個人的に本作の主人公がモテる理由がよくわからない…魅力的ではないのが大変痛いです。その主人公を開始早々取り合うヒロイン勢…「あれ?プロローグ飛ばしたか?」って錯覚に陥りますね。全く感情移入できません。本作は登場するヒロイン全員の好感度が最初からカンストしていますが、共通個別ルートで語られるヒロインたちが主人公を好きになった理由が概ね弱いのも気になります。なろう主人公のほうがモテる理由に説得力がありますよ。自分は他者を思い遣らない癖に自分の失恋はしっかり傷ついてトラウマになってるのが実に性悪な性格しててこんなののどこに魅力を感じるんだ…って思ってしまいます。主人公がとにかくダメですね。全然ダメ。仮に私が女性でこの世界の人間だったと仮定して全世界の男性がこの主人公以外いなくなっても絶対に好きにはならないでしょう。


・共通ルートの平坦さ
「恋愛×ロワイアル」と銘打っていますが0×0では0ができるだけで虚無なだけです。前述の通りヒロインの好感度が初めからマックスなので、話も特に起伏に富んだものでもなく学園で変人たちが変なことを繰り返す日常がダラダラ続きます。しかも学園生活がメインのはずなのにイベントらしいイベントは学園祭だけ。その唯一と言ってよいイベントが特に盛り上がりを見せずに終わります。
一般的なエロゲではゲーム内のイベントでヒロイン含めたキャラクター同士の関係性を深めるなどアクションがありますが、本作は皆無です。キング・クリムゾン受けた気分になれますね。
共通ルートはイベントらしいイベントが学園祭だけなので個別ルートに期待しましたが、個別ルートでも共通ルートと同じノリでダラダラと日常を過ごしているだけ…。これが所謂日常系というやつですか?キャラクター同士イチャコラ&煽りあいという名のかけあいを繰り返すシーンが続きます…。本当に共通個別ともにシナリオに印象がありません。


・イジリ芸
評価サイトではギャグゲー、バカゲーとのコメントが多くみられますが、ギャグもキャラクターたちが罵倒しあうのを繰り返すだけのワンパターン。ただただ主人公をダシに他人にマウント合戦を繰り返します。…いや、ロワイアルってそういうことじゃないでしょ…ヒロインが口汚く罵る様は好き嫌いが分かれると思いますが自分には合いません。これでこんな性格になったバックボーンなどが描写されていれば許容できたでしょうが、それらが全く描かれないヒロインたちは男をマウント道具に利用する性格の悪いキャラにしか写りません。


・キャラクター設定の粗
そもそもキャラクターの行動原理自体破綻しています。主人公からサブキャラクターに至るまでキ印のキャラクターが多すぎて感情移入ができません。まともなキャラクター挙げていったほうが早いくらいには…。物語の展開上仕方はないのでしょうが、人気アイドル設定のはずの由奈と蓮菜も頻繁に生徒会や主人公宅にも押しかけてくるし「君たち暇人か?」…細かな部分で粗が目立ちます。

 

●CG


原画を複数のイラストレーターで分担している為、主人公の顔に整合性が無いのと一部キャラクターの立ち絵の作画バランスがおかしい点を除けば概ね気にはならない程度のクオリティを保ってます。イベントCGも大きく崩れたものもなく、SD作画も可愛いです。キャラクターの乳首や乳輪もキャラ毎に違いがあり、下着なども凝った作りになっているのは素晴らしいですね。アサプロ特有の変顔で若干過剰かと思う表現はありますし、それ単体でのインパクトは流石に食傷気味になってきていますが変顔差分も大変豊富で飽きがきません。CGのクオリティの点に関してはフルプライスゲームとして及第点を与えられます。

 

●キャラクター


アサプロ特有の変顔で台無しになりますがキャラは可愛いです。声も極端に不快になるようなレベルのものは個人的にはありませんでした。キャラクターの性格はプレイヤーによって好き嫌いがはっきり分かれるでしょう。主人公は公式HPのキャラクター紹介からしサイコパスと紹介されていますが、サイコパスが行き過ぎた面が多々あり感情移入が難しいのは先述した通りです。キャラ萌えゲーで主人公に感情移入できないのは致命的だと言えます。ただ、一部ヒロインも主人公に負けず劣らずのサイコパスなので割れ鍋に綴じ蓋といった側面で奇人変人同士惚れる理由の整合性が取れてはいる…のでしょうか……?
ヒロインの内面描写もお粗末ですね。主人公を好きになった理由が語られるもののどれも浅く、なぜ彼女たちがこの主人公を好きになったのかという点でも納得のいく説明が描かれていないです。
また、主人公の「親友」2人と主人公の関係性についても若干気になる点があります。気軽に悪口を言い合える間柄が親友という側面も無論なくはないでしょうが言い過ぎです。ライターはなにか親友という概念をはき違えているのではないかと感じますね。時には親友の人格を否定したままその後もフォローしないなど致命的すぎる描写も散見され、なぜ彼らは主人公と仲良くしているのかわからりません。自分なら絶縁してます。
余談ですが、ほぼ全キャラから主人公が「めっちゃ女の子殴ってそう」みたいな評価受けてるのは笑いました。確かにそんな異常者感は出てましたけどね…。

 

メインキャラクター


・まり
本作の幼馴染ヒロイン兼ヨゴレ芸人。高校生で自分の名前漢字で書けないのやばくない…?よく高校の転入試験受かったね…。
本作の全ルートにわたって主人公にアプローチをかけ続けますが、その仕返しと言わんばかりに彼女のルートでは主人公とまりだけのイチャラブシーンが少ない印象を受けました。
せっかくの幼馴染系ヒロインとしての設定も本人がちゃらんぽらんなキャラクターなので幼馴染特有の主人公に対する思い入れや情念みたいなのがあまり感じられなかったのも設定倒れ感があり残念でした。ここら辺調理方法を変えるだけでもだいぶ良くなりそうなんですけどね。
このルートに限った話ではありませんが、全体的に個別ルートでも共通ルートのノリがずっと続いて物語としての起伏があまりない印象を受けます。彼女が関わっている主人公のトラウマ自体もあっさり解決してしまうのも彼女のルートが平坦に感じてしまう理由の一つでしょうね。一通りのルートをプレイした感想として、彼女は自分のルート以外で輝くキャラだなと感じました。

 

・汐音
すぐぷくれるカワイイ。年上の包容力のかけらもない人かと思いきや意外にもバブみを備えたママ属性もあるのは素晴らしいですね。個人的にはこの娘のルートが一番安定感あってよかったと思います。公式HPでは「自分大好き性悪ナルシスト」との紹介文がありましたが彼女自身のポンコツ具合でうまく中和されていたのか性悪感は感じませんでした。本作はメタネタ多めなので作中で汐音本人も愚痴ってましたが、この娘のルートだけ選択肢が汐音目線になってるのも面白いですね。
彼女を語る際、付き人の蒼の存在は欠かせないでしょう。付き合いが長いだけあって表面上では罵倒しあっている蒼と一悶着あってもお互いが信頼関係で繋がってるのは王道な設定ながら良かったです。汐音ルートの安定感は蒼の存在が大きいですねホント。
スタイル抜群な彼女のエロCGは全体的にクオリティが高くイチャコラバカップルっぷりに拍車がかかってカワイイですね。個人的にピロートークのCGは特にお気に入りです。
気になった点としては、彼女の実家の問題などがエピローグでサラっと語られるだけだった点です。うまく調理できればクオリティの向上に寄与できる王道な設定なだけに勿体ないなと感じました。全編にわたっていちゃラブするだけよりも少しストーリーに起伏が欲しかったです。

 

・乃々香
ヤンデレメンヘラ妹。過去の色々なトラウマから主人公を守るため過保護になり全編にわたって主人公の彼女候補を牽制してきます。上崎裡沙か?

彼女のルートでは、共通や他ルートで漂う陰気さが消えて色々と浄化されてるのが印象的です。勢いあまってキスより先にセックスしちゃうのも彼女らしいと言えば彼女らしいです。
エロCGでは、野外で放尿するシーンで膣から精液垂れてくるのは個人的にエロくてイイですね。その姿を見て興奮して精液ブッカケるのも主人公の性的倒錯感が出てて二度笑いました。
このルートで出てくる主人公と乃々香の母親が可愛いです。母親のほうを攻略させてくれ…。
他のルートよりサイコ感マシマシで、実妹と子供作るエンディングも遺伝学的に大丈夫なのか心配が上回りハッピーエンド感を個人的に感じなかったです。主人公の父親も父親で母親とのデートで勃起したことを息子や娘や居候の前で語ったり、母親とのプレイ映像で抜いてたり、ファンキーすぎる父親なのでこの親ありてこの子ありとも思わざるを得ないんですけどね…。

 

・蓮菜
猫被りな現役アイドル。後輩として主人公がいないところでは腹黒毒舌。たまに主人公相手にも毒を吐くのは良いですね。先輩アイドルの由奈は変顔しないけど蓮菜は頻繁にアイドルがしちゃいけない表情したり、男友達と話してるだけで嫉妬する独占欲の強さは未熟な後輩アイドル感が出ててよかったですね。
物語初めから主人公に好意を寄せていますが、彼女のルートは主人公を好きになった理由に説得力がないのは気になりました。
彼女の所属しているアイドルユニット「グロリア*スノウ」の由奈以外のメンバーの名前が「???」で統一してボイスもないのはフルプライスゲームとしてどうかと思います。
夜中つながり続けてレイ〇目になってるCGやアイドルとして忙しくなる前に子作りセックスをしようとしたり性に積極的な後輩系彼女の存在はキュートだと思います。オンオフで髪型変わったり一番女の子らしい女の子しているのもポイント高いですね。
ママと付き合うルートの実装はよ。

 

サブキャラクター


・由奈
サブキャラですが、ほぼメインキャラ。サブキャラでは一番長くルート貰ってますし、主人公の元カノなので本筋に絡みまくります。人気アイドルユニット「グロリア*スノウ」のセンターで、本作ヒロインの蓮菜ちゃんとユニットを組んでおり設定だけでも「もうこの娘もメインで良かったのでは?」と思わざるを得ません。
蓮菜およびに由奈の「グロリア*スノウ」のルートは他のルートに比べると明らかにバックボーンがしっかり作られてます。特に由奈ルートは、由奈が一度主人公を振った理由や由奈がアイドルになれた理由などしっかりと語られているのでメインキャラのルートに比べて読みごたえがありました。このルートは一度由奈に振られた過去を断ち切って主人公が男気を見せるのもいいですね。付き合ってからも一度破局した経験があるからか滅茶苦茶やることがスムーズ。プロポーズ後にすぐに指輪購入しに行ったり、即合体したり…。
笑顔で黒いオーラ出してる顔スチルは特にお気に入り。由奈ちゃんのお尻に敷かれたいと思ったのは自分だけじゃないはず。
低身長を気にしており、ことある毎に蓮菜に煽られますが立ち絵では蓮菜との差はあまり感じません。

 

・蒼
アオいいよね。いい…。可愛さがメイド服着て歩いてる。
ご主人の汐音と蒼の絶妙な関係性は素晴らしいです。汐音に対して散々罵倒してくるけど、本心では汐音がいないと駄目な娘ってのもいいですね。もうこの娘たちの掛け合い漫才だけでいいんじゃないかな…。語尾伸ばして「〇〇よ~」って脱力したセリフやダウナーに見せかけてその実、ノリが良いのもかわいい。声優さんの演技も光ってます。
普段の髪型も好きですが髪下した姿もカワイイです。
汐音ルートのおまけのような扱いでしたが独立したルートでも十分に戦える魅力を持ったキャラクターでした。

 

・育代
数少ないまともなキャラクター。胸のこと気にしてるけど立ち絵では言うほど貧乳感がない。
おまけルート扱いなので育代ルートのボリュームは彼女の胸と同じくらいに控えめ。ただ共通ルートから主人公のこと気にかけていたりしていたのでこの子のルートは唐突な感じはあんまりしませんでした。
あるルートでヒロインと主人公に対して「あんなのでも彼氏できるんだもん、世の中間違ってるって……彼氏もあんなのだけど」ってセリフ言ってたけどよーくわかります。

 

・愛
これくらい気楽な性格してる女の子のほうがかわいいですね。本作の中では常識人のほうですが、親友の兄との初体験を親友に見られながらって高度すぎるプレイかましたりするのでやっぱりどこか倫理観破綻してる。

 

・良徳
親友ポジその1。女性アレルギー拗らせたミソジニストという設定の割にはイインチョを中心に色んな女性キャラと話してるので死に設定に感じます。作中でも色んなキャラに外見が良いと褒められるうえに性格も本作の中では破綻してない方なのでモテないのが謎。このキャラのルートはもう少しボリュームが欲しかったですね。

 

・千弥
親友ポジその2。フルネームで読むと栗井千弥でクリーチャー。声優さんが歩サラさんだった理由は多分このルートに入ればわかると思います。しかし、このキャラのルートは展開が色々と急すぎですね。おまけルートとはいえもう少し頑張ってほしかったです。せめて共通ルートあたりで伏線があればよかったんですが…。

 

●システム周辺


これも特に問題はありません。バックログやシーン保存などの必要なものはそろっていました。これは大体のエロゲーに言えますが、デフォルト設定だとオートでの進行速度がやや早く、キャラクターボイスやBGMの音量も大きめであるため個人によって調節する必要もあると思います。ボイスセーブで後から本編キャラクターのセリフだけを楽しめたりするのも良い点でしょうね。例えば、汐音の「ぷくぅ」だけ保存して楽しんだりすることができます。
クリア後にキャラクター毎に様々なポーズや表情、服装をチェンジして楽しむこともできるのも評価できるポイントと言えるでしょう。

 

●総評


コンセプトは良いです。所謂負けヒロインが諦めずに主人公にアタックをかけるコンセプトは素晴らしいです。しかし、コンセプトがコンセプトなだけに個別ルートに入っても共通ルートの様に様々なキャラクターが出張ってくるので、物語に起伏が無くずっと共通ルートをプレイしているかのような印象を受けます。例えば、主人公とまりや由奈の過去の更なる掘り下げや汐音の家の問題等、物語に深みを持たせるためのエッセンスは随所にあったのですが、どれもあっさり解決したりエンディングにぶん投げたりするのも個人的には気になりました。このメーカーお決まりのFDに備えて敢えて不完全版を発売するのはどうかと思いますね。
また、主人公がサイコパスすぎて感情移入しにくいキャラクターというのもいちゃラブがメイン要素のキャラゲーでは致命的です。本作はヒロインもキ印なキャラクターが多く、ある意味では釣り合いが取れていると言えばそれまでですが…。これが今の性格になったバックボーンなどが語られるならわかるのですが、それも全くありません。ナチュラルボーンサイコなんですね。そこら辺を受け入れられるかどうかで佳作か凡作か人によって評価が分かれるところだと思います。購入検討中なら、まず体験版をプレイすることを強くオススメします。全編にわたって体験版のプレイ範囲と同じようなノリが続きますのでそれが合う、面白いと思ったのであれば購入しても損はないと思います。

 

個人的にこのライターの作品は今後二度と買わないでしょうね。最新作のフタマタ恋愛も体験版の時点で酷かったですし。

 

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キャラ:★★☆☆☆

ストーリー:★☆☆☆☆

エロ:★★★☆☆

音楽:★★★☆☆

総合評価:30点/100点